ここでは、看護師が活躍できる様々な職場についてご紹介します。
看護師の役割は、医療チームの一員として対象者のケアや健康管理に貢献することです。
看護師は人々の生活を支える大切な存在であり、それぞれの職場で専門知識とスキルを活かし、患者さんや利用者の健康と福祉を守っています。 病院やクリニックはもちろん、介護施設や在宅医療、保育施設や企業など、様々な分野で看護師が求められています。
看護師の働く場所は本当に色々あるよ。
活躍の場を知って、自分の可能性を広げよう!
この記事を通じて、あなたの興味や適性に合った働く場所を見つける手助けができれば幸いです。
病院ではたらく!
病院とは、疾病や疾患を抱えた人(病人、患者)に対し医療を提供したり、病人を収容する施設のことです。病院は、医療法により、病床数が20以上の医療機関のことを指します。
一般病棟
入院中の患者さんのお世話や、診療上の補助を行います。患者さんは常に入院されているため、交代勤務をとり、365日24時間休むことなく活動しています。
朝の情報収集から始まり、全勤務者からの申し送りをうけます。その後、環境整備、日々の検温、清潔ケア、創傷処置、点滴、採血など目まぐるしく仕事をこなしていきます。食事の時間には、配膳・下膳や、食事の介助・口腔ケアを行います。
ナースコール対応や入退院が多い病棟では、座る暇も無いという職場も少なくありません。また、患者さんが急変する場合もあり、その際はスタッフが集まり協力して対応を行います。
日々のカンファレンスでは、看護師同士で患者さんの情報を共有したり、看護問題について評価・計画の見直しを行ったりします。チーム医療の一貫として、患者さんについて治療方針の確認や意見交換を他職種と行うことも必要です。
病棟で働く看護師は、通常、交代勤務を行っています。入院している患者さんがいるため、365日24時間休むことなく活動をしています。
【一般的な2交代勤務】
日勤:8時半~17時半 夜勤:17時~翌9時
【一般的な3交代勤務】
日勤:8時半~17時 準夜勤:16時半~0時 深夜勤:23時半~翌9時
病院看護師は常に人手不足が指摘されており、就職もしやすいことが特徴です。
交代勤務による体の負担や、多忙がゆえの疲労、命と向き合って働いている緊張感などがありますが、病棟看護師でしか経験できない技術や知り得ない知識もたくさんあります。2交代が勤務が良いか、3交代勤務が良いか、自分に合う方をしっかりと選択し職場を選ぶことで、体の負担をおさえられます。
救急室
救急室で働く看護師は、救急車等で運ばれてきた救急患者への看護を行います。
通常病院は、診療時間内でしか診療をしてもらえない事が基本ですが、診療時間外に患者を受け入れ、応急処置や治療を行う医療機関があり、それを「救急病院」「救急指定病院」と呼びます。
各都道府県の救急医療体制は、医療計画に基づいて一次救急・二次救急・三次救急の3段階に医療機関を分類しています。このような区分により、重症度や緊急性に応じた効率的な医療提供が可能になります。
一次救急:軽症患者の外来診療を行う
二次救急:入院・手術が必要な重症患者に対応
三次救急:もっともハイレベルな救命救急医療を提供
三次救急にて、ドクターヘリを使用する場合、フライトナースとしてヘリに同乗することもあります。救急ナースは、より高度な知識・看護技術や、臨機応変な対応力、医師と対等に渡り合える気力・体力が求められます。
二次救急と三次救急では、2交代または3交代勤務となります。
集中治療室類(ICU、CCU、HCU、NICUなど)
集中治療室に勤務する看護師は、集中治療室内に入院している患者さんへの看護を行います。看護師の中でも一番病態生理の理解が求められ、ICUナースは「ミニドクター」とも呼ばれることがあります。
ICU(intensive Care Unit):集中治療室
重篤な急性機能不全にある患者さんや、容態観察が必要な患者さんに対応します。内科・外科系を問わず、手術後の容態観察が必要な患者さんを受け入れ、様々な疾患・症状の治療に関わります。
その他、様々な集中治療室があります。
HCU(High Care Unit):高度治療室
SICU(Surgical Intensive Care Unit):外科系集中治療室
CCU(Cardiac Care Unit):循環器疾患集中治療室
SCU(Stroke Care Unit):脳卒中集中治療室
NCU(Neurosurgical Care Unit):脳神経外科集中治療室
KICU(Kidney Intensive care Unit):腎疾患集中治療室
RICU(Respiratory Intensive Care Unit):呼吸器疾患集中治療室
MFICU(Meternal-Fetal Intensive Care Unit):母体・胎児集中治療室
NICU(Neonatal Intensive Care Unit):新生児集中治療室
PICU(Pediatric Intensive Care Unit):小児集中治療室
GCU(Growing Care Unit):移行期治療室
重篤な患者さんの対応を行う集中治療室では、患者さんの容態が急変するケースも少なくありません。患者さんの様子に注意を払い、変化に対して冷静な対応をすることが求められます。
24時間患者さんの看護にあたる必要があるので、2交代または3交代勤務となります。
(出典:一般社団法人日本医療福祉建築協会「ICUの種類と対象患者・施設基準」P47)
手術室
手術室で勤務する看護師は直接介助(器械出し)と間接介助(外回り)という2つの役割に分かれます。どちらも重要な役割ですが、間接介助者は下記のように、より豊富な知識や技術が必要となります。
新人看護師は直接介助から一人立ちをするという場合が多い様です。
手術室看護師は、基本的に夜勤はありませんが、オンコール体制を取っている事が一般的です。
内視鏡室
内視鏡治療室の看護師は、内視鏡室内で内視鏡検査と治療の必要な患者さんへの看護を行います。
内視鏡室では、胃カメラ・大腸カメラ・胃ろう増設術などが行われます。
基本的に、日勤のみの勤務になります。オンコール対応を求められる職場もあります。
外来ナース
病院の外来で、患者さんの診療の補助を行います。通常は診察開始時間から終了時間までの勤務となることがほとんどですが、救急外来などでは24時間診察を行うことがあり、その際は交代勤務が発生します。
外来看護師は、病棟で行うような清潔ケアや排泄ケアなどはほとんど行う機会がありません。採血や点滴などのスキルは必須となりますが、その他の医療処置を実施する機会は少ない傾向にあります。
クリニック(診療所)ではたらく!
クリニック(診療所)とは、入院施設が無いか、もしくは19床以下の医療機関のことを指します。看護師の業務は、外来診療補助が中心になります。
クリニックでは、医師(院長)と看護師数名、受付担当者と少人数で仕事を回すことが多いため、クリニックでの看護師業務は、一般的に以下のような役割と責任を持ちます。
クリニックは一般的な内科、小児科や産婦人科、透析クリニック、美容など専門のクリニックもあれば、健康診断や人間ドッグのみを行っているクリニックなど様々あります。領域の種類により、求められる知識や技術は様々です。
入院施設があるクリニックでは、夜勤もあります。
検診センターではたらく!
健診センターでは「健診」を中心に、「検診」を行っている施設も多くあります。
「健診」とは健康診断のこと。病気の早期発見や生活習慣の見直しに繋げる目的で行われます。
「検診」とは胃がん検診や子宮がん検診など、特定の病気を早期発見・治療するために行われます。
なかでも特に採血スキルが重要になります。検診センターでの採血は、病棟と違って他の看護師に代わってもらうことが難しく、大人数の採血を短時間でこなしていかなければなりません。経験を積み、どの様な血管でもスムーズに採血を行えるスキルを得ることが重要です。
また、保健サービスとしての利用者の確保も求められるため、より接客業のような丁寧な対応が必要となります。
大きな検診センターなどでは、検診車で企業や自治体の会場を訪れ、健康診断や乳がん・子宮がん検診などを行う「巡回検診(出張検診)」も担当することがあります。
入所型施設ではたらく!
特別養護老人ホーム(特養)
特別養護老人ホーム(特養)は、介護や生活支援を受けながら長く生活をする施設で介護老人福祉施設とも呼ばれています。主に要介護3以上の高齢者が適応され、居住系の介護施設の中でも入居者さんの要介護度が高いことが特徴です。終身入居が可能で、公的施設のため介護付き有料老人ホームと比べると、入居費が安くすみます。
病棟看護師の場合と違い、食事や排泄の介助・清潔ケアなどは、基本的に介護スタッフが行います。急変時には、看護師が医師と連携し、医療的な判断を下したり、介護スタッフへの指示を行います。
特養は看護師配置が義務付けられていますが、24時間の配置の必要はなく、夜勤は基本的にありません。ただし、急変時のオンコール対応をとっている施設はあります。
介護老人保健施設(老健)
介護老人保健施設(老健)は、介護に加えリハビリによって家庭復帰を目指す施設です。要介護1~5の幅広い介護度の方が入居します。リハビリに重点を置き、在宅復帰を目標として入居します。
食事や排泄の介助、清潔ケアなどは介護スタッフが主となって担当しますが、看護師がサポートに入ることもあります。また、リハビリスタッフと連携して身体機能の改善を目指します。
特養と異なり、老健の看護師は夜勤があることが一般的です。
介護付有料老人ホーム
介護付有料老人ホームは、入居者が介護や食事などのサービスを受けながら生活する施設です。ほとんどの有料老人ホームは、民間企業が運営しており、その数は年々増加しています。看護師の求人も多くなっています。
有料老人ホームには、①介護付 ②住宅型 ③健康型の3タイプがあります。看護師が働く職場は、主に①の介護付き有料老人ホームです。入居費用は施設によって幅広く設定されており、高価格帯の施設では高い接遇スキルが求められます。
食事や排泄の介助、清潔ケアなどは、基本的に介護スタッフが担当します。
有料老人ホームは、求人数も多く、看護師の働く場としても人気があります。
施設により様々ですが、夜勤のある有料老人ホームが増えてきています。
在宅介護サービスではたらく!
訪問看護ステーション
訪問看護ステーションは、訪問看護を行う看護師や保険師、助産師、理学療法士などが所属している事業所のことです。スタッフは、訪問看護ステーションを起点として利用者の自宅や施設に出向き、状態観察や、医療的なケアなどのサービスを提供します。
少子高齢化や医療費の増加の問題を抱える現代日本では、医療機関から在宅療養への移行の推進もあり、在宅医療の必要性は年々高まっています。
訪問看護を行っている機関は、訪問看護ステーションの他、病院・クリニック(診療所)もあります。
基本的には日勤の仕事となりますが、ニーズの高さから24時間対応体制が広がっている傾向もあり、その場合は夜勤や、コール対応のシフトがある場合もあります。
デイサービス(通所介護)
デイサービスは、高齢者ができるだけ自宅で日常生活を続けられるように、食事や入浴といった日曜生活のお世話、レクリエーションや機能訓練などのサービスを提供する施設です。自宅にこもりがちな高齢者にとって、貴重な社会とのつながりの場にもなります。要介護2以下の方が多く利用しています。
デイサービスでは「機能訓練指導員」の配置が義務付けられており、看護師がその役割を兼務することもあります。「機能訓練指導員」は、看護師や理学療法士、作業療法士などの資格があれば役割を担うことができます。
【機能訓練指導員の仕事内容】
①利用者の身体機能を評価し、状態に合わせて必要な訓練を計画する
②筋力トレーニングや歩行訓練、可動域訓練などの指導・介助を行う
③集団体操など運動プログラムを考える
また、デイサービスによっては、利用者さんの送迎を兼務することもあります。
夜勤もなく医療行為も少ないため負担がなく働きやすいと感じる人が多いようです。
デイケア(通所リハビリ)
デイケアは、「通所リハビリ」とも呼ばれ、デイサービスよりもリハビリに力を入れていることが特徴です。
病院、診療所(クリニック)、介護医療院、介護老人保健施設、その他厚生労働省令で定める施設など様々な場所に設置されており、自宅で過ごす要介護者(要支援1~2、要介護1~5の認定を受けている高齢者)が日帰りで通い、医師の管理下のもと必要なリハビリテーションを行います。
デイケアでは、専門のリハビリ室で理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等が、リハビリ業務にあたるため、看護師が仕事内容としてリハビリは行うことはありません。
デイケアでは、施設によって介護者が不在の場合もあり、利用者さんの日常生活のお世話は看護師の仕事となる場合が多いです。
保育施設ではたらく!
保育施設の看護師は、子どもの健康管理や保護者への健康・発達面でのアドバイスを行います。そして保育士とほぼ同業務を行うことが多いです。
近年、アレルギーなどのある園児への対応も必要になってきているため、看護師の役割は重要度が増しています。また、季節性のインフルエンザや胃腸炎などの季節性の感染症対策として、園内の衛生管理や手洗い・うがいの指導も大切にとなってきます。
乳児が4人以上いる保育園では、看護師・准看護師・保健師を「みなし保育士」とカウントできる特例があり、看護師を採用を考える施設も増えてきています。
産業看護師としてはたらく!
産業看護師とは、病院や介護施設などではなく、一般企業や製薬会社、医療機器メーカーなどの企業で働く看護師のことです。夜勤や土日祝日勤務などがなく、ワークライフバランスがとりやすい事が特徴です。同じ産業看護師でも、どの企業で働くのかによって仕事内容は違います。
主にデスクワークとなり、体力的な負担も少なく働きやすい環境が整っていることから、とても人気がありますが、実際に産業看護師として活躍できる人は、看護師全体の中でも1%にも満たないと言われています。
臨床の場での経験があり、ベテランの看護師を採用する傾向にあるため、新卒での採用を狙うことは基本的には難しいです。
企業看護師
企業看護師とは、一般企業に所属し(主に大規模な企業)、社員に対し医療的・看護的サポートを行う看護師を指します。
2015年に厚生労働省がストレスチェック制度を導入したことから、社員のメンタルヘルスチェックが重要視されて来ている傾向にあります。メンタルヘルスに対応できる知識や経験を持つ看護師は、企業から求められることが多い傾向にあります。
また、企業によっては、保健師の資格が必須となっているところもあります。
治験コーディネーター(CRC)
治験とは、製薬企業などによって開発された新薬が、実際の薬として使用されるために必要な臨床研究のことを言います。
治験コーディネーターは、医療機関や製薬会社、患者さんの間に立ち、治験がスムーズに進行するようサポートする人のことをいいます。
治験コーディネーターになるために必須とされる資格は存在しませんが、医療機関の治験コーディネーターは、各医療機関における薬剤師看護師、臨床検査技師などの資格保持者が、部署異動によって配置されるケースが多いです。
臨床開発モニター(CRA)
臨床開発モニターとは、新薬を開発する製薬会社からの依頼を受け、治験サポートを行う企業で働く産業看護師を指します。病院で行われている治験が、ルールに則って実施されているのかをモニタリングする事が主な業務内容になります。製薬会社もしくは病院の医師との関わりが多くなります。
看護師資格は必要なく、看護師以外にも薬剤師・MR経験者など幅広い人が携わっています。
治験を行う病院とのやり取りの仕事となるため、出張が多い仕事でもあります。
クリニカルコーディネーター(フィールドナース)
医療機器メーカーで働く産業看護師のことを、「クリニカルコーディネーター」または「フィールドナース」と呼ぶことがあります。
勤務する医療機器メーカーで、自社製品である医療機器の営業活動のフォロー、操作説明などを行います。英語力が求められられることも。
夜勤などはなく、生活は安定していますが、求人は都心部にしかなかったり、出張が多い様子があります。新卒での採用は難しく、看護師の臨床経験が必要であり、ビジネスマナーや運転免許、パソコンスキルなどが求められます。
コールセンター
健康相談などをメインとしたコールセンターで、健康相談やメンタルヘルスなどのカウンセリングを行うという仕事です。
臨床経験必要である事が多く、誰でも簡単に就くことのできる仕事ではありません。
産業カウンセラー
産業カウンセラーは、一般社団法人日本産業カウンセラー協会が認定している資格です。産業看護師として企業で勤務する場合、疾病や怪我に対応すること以外に、メンタルヘルスケアという部分を担うことになるため、働きながら「産業カウンセラー」の資格取得を目指すという人も増加しています。
心理学に基づき専門性の高い知識を得ることができる資格となっており、産業看護師としてのスキルアップへとつながる資格です。
イベント・ツアーナースとしてはたらく!
お祭りや、音楽イベントや、スポーツイベントなど大型のイベントでは、臨時の救護所や医務室が設けられます。イベントナースは、そうした救護所・医務室に待機し、体調不良者や怪我をしてしまった人の応急処置を行い、状態に応じて病院へ行くよう促します。また、必要であれば救急搬送の要請を行います。
修学旅行など大勢の旅行に付き添う看護師を、ツアーナースと呼び、体調不良者や怪我をした人の対応にあたります。ツアーナースは、他のスタッフと連携し、旅行が安全に終わるようサポートを行います。
イベントナースは、基本的に単発の仕事となるため、自分が働きたいタイミングで働くことができます。
看護教育の先生としてはたらく!
看護教育の先生として、看護師養成所や、大学の看護学部で看護学を教えます。
社会に求められる看護職者を社会に送り出す仕事であり、看護師会の土台形成としてとても遣り甲斐のある仕事です。
看護教育の先生のために、厚生労働省の教育の場が準備されています。
①専任教育養成講習会:看護教育の基礎的能力を養うための講習会
②教務主任養成講習会:その後の指導的役割を担う能力を開発する講習会
また、実習指導への講習会として「保険師助産師看護師実習指導者講習会」というものも用意されています。
参考)看護教員に関する講習会及び保健師助産師看護師実習指導者講習会について (mhlw.go.jp)
終わりに
いかがでしたか?看護師の多様な職場についてご紹介しました。 病院やクリニックから始まり、介護施設や在宅医療、学校や企業まで、様々な分野での活躍の場が広がっています。
看護師は医療の一翼を担いながら、患者や利用者の健康と福祉を守る重要な存在です。 また、専門知識とスキルを磨きながら、さまざまな経験を積むことも可能です。
あなたの興味や適性に合った職場を見つけ、充実した看護師キャリアを築いていけるようこのブログがお役に立ったら幸いです。
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